「播磨国風土記」の古代史」
兵庫県立歴史博物館 ひょうご歴史研究室 編
坂江 渉 監修 (神戸新聞総合出版センター 2021)

この本のことを知ったのは、神戸新聞にまとめられた記事を読んだことからだった。
https://www.kobe-np.co.jp/news/himeji/202208/0015579274.shtml
英国出身でニュージーランド在住の女性研究者エドウィーナ・パーマーさんという方が、播磨国風土記の口承について新境地を拓く研究をしているというもの。人文地理学の博士号を取得され、来日し、神戸松蔭女子学院大助手、奈良女子大客員研究者、国際日本文化研究センター(日文研)客員教授も務めたそうだ。(神戸新聞の記事を一部引用)
言葉の反復や韻、掛け言葉などに注目し、古代ギリシャの口承文学と国際比較したと紹介されていた。
この記事によって、県立歴史博物館の研究をまとめたこの本の存在を知り、手に取った。
「播磨国風土記」の古代史」は17名の執筆者が文献史学と考古学から読み解いた38編を収録。
一部内容について紹介すると、
・古墳の石材に利用される竜山石と倭王権
・地元の神、伊和大神と国譲り
・淡路島、明石海峡と海人
・先述したパーマー氏の研究については、この本の監修である坂江氏がまとめている。
・尾張と関係性の深いアメノホアカリの伝承、尾張氏の一族である石作氏(いしづくりし)の伝承など。
・オケ・ヲケの物語を古事記、日本書紀、風土記で読みくらべる
など、大変に興味深い内容についての考察が書かれている。
我々歴史の里マイスターの会でも、「読書会」として、日本書紀や古事記の内容を学んでいるが、記紀だけではない地方の伝承、地元でしか感じ得ない地理的な感覚、今もその形跡が残る風習などの考察についても目を向けていくべきと強く感じた。
歴史の里マイスターの会 会員K