いにしえのアクセサリーは土(焼き物)や石、動物の骨など身の回りの自然素材でつくられています。
干潟で容易に採れる貝も素材の一つです。ところが、遥か遠く、南西諸島などの温暖な海域で生息する貝でつくられた腕輪が全国各地から出土しています。貝製の腕輪を考古学では〝貝輪〟または〝貝釧(かいくしろ)〟といいます。
縄文時代に作られ始めた貝輪は、形や価値観を変えながら弥生時代、古墳時代まで作られ続けました。
使われた貝は多種ありますが、古墳時代に主流な貝を紹介します。

【イモガイ】
主にサンゴ礁に棲む里芋のような姿の巻貝ですが、毒を持ち食用にはなら
ないそうです。
写真は安土城考古博物館の特別展「馬でひも解く近江の歴史」の展示品です。

馬の牧場が初めて設けられたのは古墳時代中期が始まる4世紀末から5世紀初頭。騎乗用の馬はアクセサリーをつけて飾りたてていました。貝の螺塔部を雲珠(うず)という金具に使っています。

巻貝の切断面はうずまき模様。うずまきのデザインは弥生時代の銅鐸や祭祀土器に見られます。稲作とともに渡来した呪術的な文様と考えられています。
うずまきデザインの大きな貝を求めたのはその貴重性と、生命に関わる切実な想いがあったからでしょう。
(もずうり)