12月12日「掘った!分かった!?春日井の中世史〜暮らしを支えたモノ・ワザ・ココロ〜」展にて研修

春日井市の秋の考古企画展には毎年研修をさせてもらっていますが、中世!? 古墳時代ではない、はたして皆さんが参加するかと心配しましたが、15名が参加しました。

企画展の主役は、庶民の器「山茶碗(やまぢゃわん)」です。平安時代後半(11世紀末葉)から室町時代(15世紀中葉)までの400年間にわたって東海地域で地産地消されました。釉薬を掛けない簡素な碗や小皿を大量生産しました。 

名前の由来は一説に、窯を築いた山中に大量の不良品が捨てられ、「山の中で採取」したことによるとパネルにありました。


山茶碗専焼窯である内津第1号窯は、13世紀中葉に操業した地下式あな窯と推定されています。(写真の模型は常設展示室の須恵器窯)大量生産するために「重ね焼き」をしています。同一規格の碗を10点以上重ねることで一度に数千点を焼成できます。 

しかしながら、最前列の製品は炎の直撃で破損しやすく、また、自然釉(薪の灰が溶けてガラス化したもの)により製品同士がくっついてしまったり、3割くらいの不良品が出てしまうそうです。


春日井市教育委員会の浅田先生が手作りの模型と出土品を用いて解説してくださいました。出土品の山茶碗を手に取らせてもらいましたが、見た目より軽く、指で弾くと金属的な音がしました。


他に、白山遺跡の小皿を用いたまじないは現代における「カワラケ投げ」のようなものかというお話や、参加者の質問も多く、1時間近く解説していただきました。


常設展示室に移り、尾張型円筒埴輪の特徴の1つ、倒立技法について学びました。

浅田先生は段ボール製の円筒埴輪をひっくり返すなど、製作手順を分かりやすく解説してくださいました。また、出土品を観察するポイントなどを30分ほどかけて教えてくださいました。 

中世は都や歴史上の有名人物に注目が集まり、地方の暮らしなどに目を向けることがあまりないと思います。企画展の38枚ものパネルを印刷した資料が配布されています。春日井の中世史、知ればおもしろい!と感じました。